研修企画報告

◆高知県立美術館企画展「高知県立竜宮城」見学会 参加記

日程
平成20年1月31日(木)15:00〜17:00
スケジュール:
15:00〜16:00 担当学芸員解説
16:00〜展示室自由見学

 19年度の研修会第2弾として、県立美術館の企画展示、「高知県立竜宮城」の見学会を実施しました。
 それにしてもインパクトの強い「モノ」の数々。かくいう自分も職場に送られてきたチラシを一目見て「おおっ!?」と釘付けになり、つい机の上に一部取り置き、チラチラ見ては仕事の逃避に愛用していました。テレビや新聞で目にすることも多く、理屈抜きに惹きつけられてしまった人も多いのではないかと思いますが、この企画は一体どうやって実現にいたったのか?というあたりも気になる所です。
 そこで研修企画を展示担当者である学芸課チーフ・松本教仁さんに快くお話しをお引き受けいただき、学芸員向けの解説会が実現しました。短い告知期間にもかかわらず、19人の参加者がありました。

 会はまず講義室で企画準備の様子や展示してある以外の候補資料などの写真を見ながらお話をうかがい、その後質疑応答。つづいて展示室へ移動して自由見学、というスタイルで進行しました。
 展示室内では作品のパワーに圧倒される企画展ですが、お話を聞くにつけ、展示の準備を進めた担当学芸員と、作者や他のいろいろな関係者の方々の熱意が作り上げた展示だなあ、としみじみ思いました。
 つい個人的な感想を書いてしまいましたが、うかがったお話しの概容は以下のメモをご参照ください。個々の事例を挙げることはしていませんので、それらは展示室と図録でどうぞ。


<企画段階>
・以前から何らかの造形展を企画したいと考えていて、日頃各地で出会ったモノ、人、気になる情報などを書き留めたノートから生まれた展示。
・公民館の文化祭に出ているような、そういう作品の中にも、見過ごしがたいものがある。それらを何らかの方法で展示するような企画を、と考えた。
費用対効果や収入実績などが声高に論議される昨今の文化をとりまく状況のなかで、誰に頼まれるでもなく自らの思いに突き動かされて物作りに励む人達を紹介したかった。
・展示タイトルを「竜宮城」にした直接のきっかけとなる出会いは、足摺さんご館で見たさんごの名古屋城と虎。巨大で圧倒的な造形を目の当たりにして、何とかこれを展示したい、と思った。交渉したところあっさり承諾。2点ともの借用が実現した。
・予算面の制約がありながらも、館内の理解あって何とか実現した企画。

<準備段階>
・一点一点持ち主・作者に出展交渉。皆快く貸し出しに応じてくれた様子。なかには既に動かなくなっていた箸拳ロボットを展示のために修理してくれた例も。
・いくつか候補をあたっていくなかで、搬送が難しかったりする「選外作品」も。(例をスライドで紹介。)
・搬送には美専車を使用。さんご館のトラはクレーンで窓から出した。搬送作業にあたった作業員さんたちの職人技にも感謝。
・小冊子の写真は自分で撮影。大型図録にするには予算面の問題の他に、写真が大型本には耐えられなかったこともある。どうせ小さくするならと、「文庫版図録」にした。経費削減のためにデザイナーを入れず、自分が印刷業者に通って、オペレーターといっしょにデザインしながら作った。


(文責・藤田)